columnお悩み解決コラム
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公開日:2020.3.27 / 最終更新日:2020.3.27
産後に悩まされる痛みのひとつに「関節痛」があります。
膝をはじめ、股関節や手首、指などに症状が出やすく、育児の妨げになりがちです。
まずは原因を見てみましょう。産後の関節の原因は主に3つあります。
赤ちゃんの世話をしていると、頻繁に立ったり座ったりといった動作を繰り返したり、おむつの交換や入浴などで前かがみの姿勢になる機会が多くなったりします。
抱っこに至っては、産後でも3~4kgほどの赤ちゃんを全身で支えなければいけません。
1年も経つと重さは7~10kgくらいまで増加します。
これらの動作や姿勢は、産後に初めて経験するものが多く、その際に使う関節周りの筋肉や靭帯は、普段あまり鍛えられていません。
その結果、赤ちゃんの世話で酷使すると、関節痛を発症しやすくなるわけです。同様に筋肉痛や腱鞘炎も起こしやすくなります。
妊娠中は出産に備えるため、母体の体重が増加します。
これに胎児の体重も加わるため、膝や足首など下半身の関節にかかる負担は相当なものです。
けれども、出産するまではそれほど痛みは感じにくくなっています。
これは副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンが分泌されているからです。
副腎皮質ホルモンは「ステロイドホルモン」とも呼ばれており、炎症を抑える作用があります。
出産すると分泌される量が減ってしまうので、たとえ痩せたとしても、蓄積した痛みが表面化するという仕組みです。
また、妊娠中は胎児が産道を通りやすくするために骨盤が開きます。
出産してもしばらくは開いたままで、その間は腰や太もも、膝などに負担がかかりやすい状態です。
そこへ体重が増加するのですから、関節痛になりやすい条件が整っているといえるでしょう。
ほかの病気によって関節痛になる場合もあります。例えば「膠原病(こうげんびょう)」です。膠原病は免疫機能の異常によって、細胞同士を結び付けるコラーゲンが自分の体を攻撃する病気の総称であり、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどが含まれます。特に全身性エリテマトーデスは、若い女性が出産後に発症するケースが多い病気です。
膠原病は放置すると悪化します。関節痛だけでなく、関節の腫れや体重の減少、発熱などの異常が見られる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
産後の関節痛は、セルフケアで緩和できる可能性があります。
その方法をいくつか紹介しましょう。
私たちの体を作るのは毎日の食事です。
関節であれば筋肉や靭帯、骨を作る栄養が不足すると、関節痛になるリスクが高まります。
過剰に摂取しても症状が改善するわけではありませんが、不足しないよう毎日の食事に取り入れましょう。
マンガンはミネラルの一種で、骨の材料になります。多く含まれるのはナッツ類や玄米、全粒粉、豆類、しょうがなどです。
骨の形成を促し、骨粗しょう症の治療にも使われています。納豆や緑黄色野菜などに多く含まれていますし、腸内細菌でも作られる栄養素です。
たんぱく質と結びつくことで、体の結合組織に弾力や水分を持たせます。本来は体内で作られる栄養素ですが、その量は加齢と共に減少するため、食事からも摂取したいところです。うなぎやナマコ、山芋、オクラなど粘りのある食べ物に多く含まれます。
軟骨の材料であり、これも本来は体内で作られる栄養素です。やはり加齢と共に作られる量が減ってしまうため、食事で補います。魚介類の殻や軟骨に多く、丸ごと食べられる干しエビなら摂取しやすいでしょう。
脂肪酸は構造によって「飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)」と「不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)」に分かれます。関節に良いとされるのが「オメガ3」で、不飽和脂肪酸の一種です。炎症を抑えて関節痛を和らげてくれる働きがあります。多く含まれるのは青魚やマグロ、サケ、ウナギ、えごま油、アマニ油などです。
たんぱく質は三大栄養素のひとつ(残りのふたつは炭水化物と脂質)であり、筋肉や血液の主成分でもあります。関節に限らず、体のためにも欠かせないので、毎食1品は摂取したいところです。動物性と植物性があり、前者であれば肉や魚、卵、乳製品、後者であれば大豆が該当します。
続いて運動です。
症状にもよりますが、運動によって関節痛が和らぐ可能性があります。
運動によって筋力が回復したり、関節の柔軟性が高まったりするからです。
ただし、いきなり激しい運動をするのは痛みを強くするなど、関節痛を悪化させる原因にもなります。まずは、無理のない 範囲で関節を動かしてみましょう。
ここでは主に下半身に働きかける運動を紹介します。
床に仰向けになって寝転びます。
足を椅子やベッド、クッションなど高いところに乗せて、膝と股関節が直角(90度)に曲がった状態にします。
体の力を抜いて5分くらいリラックスします。
この姿勢を維持している間は、骨盤が正常な位置に戻るので、下半身の関節痛が和らぐでしょう。
あぐらをかくなどして、ふくらはぎを内側に向けます。
骨と筋肉の間に両手の親指を押し込み、膝からくるぶしに向けて揉みほぐします。強さは痛いと感じる手前くらいです。
痛みを感じる部分があれば、親指で押したまま、ふくらはぎをゆすります。
さらに膝の内側を親指で押します。関節の少し上あたりです。
反対側も同様に行います。
膝の痛みは周辺の筋肉が影響している場合もあり、マッサージをしてほぐします。
椅子に普通に腰かけます。
両膝の間に握りこぶしを入れ、太ももの内側に力を入れて5回ほど挟みます。
両膝の外側に手のひらを置き、外側へ5回ほど開きます。膝が簡単に開かないよう、手のひらに力を入れましょう。
膝の上に両手のひらを置き、5秒ほど足を浮かせます。膝が簡単に浮かないよう、両手のひらに力を入れましょう。反対の膝も同様に行います。
最後に太ももの下に両手のひらを入れて、筋肉を押しながら5回ほど膝を曲げ伸ばしします。反対側も同様に行いましょう。
抵抗を与えながら股関節を動かすストレッチです。
関節痛はグッズを使って、痛みを緩和させることができます。
例えば「氷嚢(ひょうのう)」です。発熱時におでこへあてがう 使い方がおなじみですが、痛む関節にあてがってアイシングすることもできます。ポイントは氷を入れるだけでなく、水を少量入れて空気を抜くことです。アイシングは30分を目安にしましょう。
「サポーター」は関節を安定した状態にして、負担を軽減します。選ぶときは圧力の強さに注意しましょう。跡が残るようであれば、圧力が強すぎます。温めるのも関節痛を悪化させるので、遠赤外線を発する繊維で作られたものはNGです。
「テーピング」は患部を固定するために使うのが一般的ですが、貼り方によって動きをサポートすることもできます。
ただし 貼り方にはある程度の技術が必要な ので、「自分でやってみてもなかなか上手にテーピングできない」という方は、整骨院などで専門家におこなってもらうと いいでしょう。
もし、セルフケアでも関節痛が続く場合は、無理せず専門家に相談しましょう。先述のように病気で関節痛になっていたり、セルフケアのやり方が間違っていたりする可能性があるからです。
産後の関節痛は、体重の増加や育児の負担、病気などで起こります。
関節痛に良いとされる食事や運動、セルフケアで痛みを緩和しましょう。症状が改善しない場合は、専門家に相談すると、適切な治療や施術、アドバイスを受けられます。
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