columnお悩み解決コラム
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公開日:2020.3.24 / 最終更新日:2020.4.2
夏になると毎年のように夏バテが話題になりますが、日常生活に支障を来すほどの夏バテが見られる場合、もしかしたら気虚に陥っているのかもしれません。
気虚は身体のエネルギーが不足することですが、その原因は身体の内側にあります。
それでは最初に、気虚(ききょ)とはそもそもどのような状態を指すのかについて見ていきたいと思います。
東洋医学では私たちの体内を気(き)、血(けつ)、水(すい)が流れており、これらの流れが滞ったり不足したときに身体に不調があわられると考えられています。
その中で「気」は身体の健康を保つために欠かすことのできない存在だと考えられています。気には身体の隅々にまでエネルギーを届ける役目があるため、気が不足すると文字通り「元気がなくなる」わけです。
東洋医学では体質をいくつかのタイプ(このタイプを証”しょう”と言います)に分類しているのですが、「気」に関しては気虚と気滞という2つの証があります。
両者は似たような意味でとらえられがちなのですが、正確にいうと気虚は身体のエネルギーが不足している状態です。一方、気滞は身体のエネルギーは足りているものの、エネルギーの流れが滞っている状態を意味します。
気虚とは身体のエネルギーが不足している状態であることから、体力のない人や筋力の弱い人、風邪を引きやすい人など、身体が弱い人に見られやすい傾向があります。
また、趣味がない人や物事に対する好奇心が欠けている人にも気虚が見られやすいようです。好奇心というのは人間のエネルギーを呼び起こすスパイスでもあるため、物事への関心が低いと、気虚に陥りやすいのです。
ここまでの解説で、気虚とはどのような状態なのか大まかなところをご理解いただけたことと思います。では、実際に気虚に陥った場合、どのような症状が現れるのでしょう。
易疲労感とは読んで字のごとく、すぐに疲れを感じてしまうという意味です。気虚に陥っている場合、たいして歩いていないのにすぐに疲れたと言ったり、少し運動しただけですぐに疲れたりする傾向が見られます。
また、睡眠をとってもなかなか疲れが取れず、休みになるといつまでも布団でゴロゴロしているケースも見受けられます。
気虚の人は胃腸の調子を崩しやすいため、食欲が減退することもよくあります。気虚と似た証である気滞はストレスが原因の1つであることから、ストレス発散のためにドカ食いしてしまうことがあります。
一方、気虚に至るとそのようなエネルギーがありません。そのため、徐々に食が細くなっていってしまうのです。
気虚に陥ると身体のエネルギーが不足してしまうため、免疫力が低下してしまいます。免疫力が低下すると、外部からの侵入者(細菌やウイルスなど)に対抗する力が弱く成るため、風邪を引きやすくなります。
気虚は身体に冷えももたらします。ちなみに、体温が1度下がった場合、身体の免疫力が30%低下するとされています。体温の低下によってさらに免疫力が低下し、風邪を引きやすくなるという悪循環に陥るのです。
気滞に陥った場合、身体的不調だけでなく、精神的不安定(イライラや不安感)も見られやすいのですが、気虚に至るとそのような気力もなくなってしまいます。
では、なぜ気虚に陥ってしまうのでしょう。
気虚の原因の1つが食習慣です。胃腸がもともと強くないのに消化に悪いものばかり食べていると、消化や吸収にエネルギーが使われてしまうため、身体を回復させるためのエネルギーが不足してしまうのです。
筋力の減少も気虚の一因となります。筋力が減少すると基礎代謝も低下するため、身体の回復を妨げてしまう結果となるのです。
気虚の原因としては、自律神経のバランスの乱れもあげられます。自律神経は私たちの生命活動の根幹を支えている神経です。
気温の変動によって体温を上下させるのも、食べたものを消化・吸収するのも、ケガをした部分を回復させるのも、すべて自律神経の働きによります。
ところが、自律神経のバランスが乱れると、生命活動を維持するための働きに異常が生じてしまうのです。その結果、身体のエネルギーが不足し、気虚に陥ってしまうのです。
気虚を引き起こすもっとも分かりやすい原因が過労です。オーバーワークが続くなどして心身ともに疲れ果てることで、気虚に陥るリスクが高くなります。
上記のような症状に当てはまれば当てはまるほど、気虚に陥るリスクが高いといえます。
気虚は病気になる前の段階(未病といいます)なので、早めに対処することが重要です。
気虚に陥ると気力が低下してしまうため、元の状態に戻すのがなかなか困難です。
そのため、少しずつでも構わないので、できることから始めることが重要です。
気虚の厄介なところは、気滞にようにイライラしたりする気力も無くなるという点です。そのため、何はともあれ心身の状態を回復させることから始めることが重要です。
睡眠不足が続いているようであれば、お風呂でしっかりと身体を温めた後、温かい布団でぐっすりと眠りましょう。残業が続いているようであれば、思い切って有給休暇を取るのも良いでしょう。
もし休暇が取れるのであれば、プチ旅行でも構わないので、いつもと違う場所に行くのがおすすめです。というのも、環境が変わらないと、休んでいるのに仕事のことを考えてしまうリスクが高いからです。転地療養にはちゃんと意味があるということですね
気虚の人はもともと胃腸の機能が弱い傾向にあるため、胃腸への負担を増すと気虚のリスクを高めてしまいます。気力が減退しているときにはなるべく消化に良いものを摂取し、内臓を休めるように心がけましょう。
気虚を改善するためには、適度に身体を動かすことも重要です。とはいっても、無理に運動をする必要はありません。気分が良いときにお日様を浴びながら散歩するだけでも十分な運動になります。
早寝や早起きも気虚の改善につながります。早く起きることで体内時計がリセットされますし、夜になると自然な睡眠欲が訪れることとなります。
気力が起きなくてどうしようもないときは、鍼灸整骨院で施術を受けるのがおすすめです。ぷらす鍼灸整骨院では自律神経調整をおこない、気虚からの回復をサポートしています。
東洋医学では、漢方薬を用いた証の改善に取り組んでいます。
気虚に対しては、以下のような漢方薬がおすすめとなっています。
参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)は、胃腸が弱い人や食欲が減退している人、病気の後で体力が落ちている人などにおすすめの漢方薬です。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、気虚に対して用いられる代表的な漢方薬です。益気には「気を益す(ます)」という意味があり、元気がないときに用いるのが効果的です。
補中益気湯は別名を医王湯(いおうとう)とも呼ばれており、古くからその効能の高さで知られています。
六君子湯(りっくんしとう)は、主に胃の不調に対して用いられる漢方薬です。主な効果としては、消化不良や食欲不振の改善、胃痛や胃炎の解消などがあげられています。
現存する最古の中医学書である「黄帝内経」という書物には、「聖人は既病を治すのではなく、未病を治す」と記されています。
未病とは病気になる一歩手前の状態のことであり、今回のテーマである気虚は、未病のリスクを高めます。
普段から気虚を意識して生活習慣を改善し、病気にならない身体を手に入れましょう。
ぷらす鍼灸整骨院でもそのお手伝いをしていますので、不調の際はお気軽にご連絡ください。
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